常習累犯窃盗加重処罰の問題点

何を争っているか

常習累犯窃盗加重処罰の法律的な問題点は、前にも記事に書きました(「常習累犯窃盗違憲論」)。

ようするに、窃盗の累犯であれば、罰金刑もあるし、懲役期間は1か月からスタートする(最長20年まで)が、常習累犯窃盗になると、罰金刑がなく、酌量減軽されないかぎり懲役期間が最短3年となってしまうのが、不合理で問題だと主張しています。

何が問題か

クレプトマニア(病的窃盗)の場合、刑罰よりも治療を受けなければならないのに、常習累犯窃盗で処罰されると、3年以上という長期にわたって治療が受けられなくなってしまいます。

それ以外にも、うつ病等、精神疾患が犯行に影響をあたえているケースでは、本人の社会復帰や更生には、治療の継続が不可欠です。また、身体科以上に精神科は患者と病院・医師との相性が重要なのに、3年以上の長期にわたって通院が断たれ、治療機会が奪われる常習累犯窃盗での処罰は、病気を悪化させ、むしろ社会復帰や更生を阻害しています。

罪は認めるが、かえって社会復帰や更生の妨げとなるような処罰は、有害で不合理だ、と主張しているのです。

事案の特徴

本件の事案の特徴は、下記の点です。
・常習累犯窃盗被告事件(認め)の控訴審である
・控訴事由として、法令適用の誤り、量刑不当を主張した
・法令適用の誤りとして、

 ①常習累犯窃盗を重く処罰する「盗犯等の防止及び処分に関する法律」(いわゆる「盗犯等防止法」)

  3条は、憲法14条1項及び31条に違反して無効であること、

 ②仮に同条が違憲無効でないとしても、本件に適用することが違憲無効であること、

 ③窃盗の累犯として処罰すべきこと、

 を主張した
・これに対する大阪高裁の判断として、

 ①同条の定める常習累犯者は刑法上の身分であって憲法14条1項にいう「社会的身分」ではない、

  常習累犯窃盗加重処罰は不合理に重いとは言えず、立法裁量の範囲を逸脱しているとはいえない

  から、憲法14条1項・31条に反しない、

 ②適用違憲の主張は要するに量刑不当の主張にすぎない、

 などとして弁護側の主張が斥けられました。
・本件は、公刊・公表された範囲では、常習累犯窃盗加重処罰の憲法14条1項・31条適合性が高裁

 段階で争われたリーディングケースである
・上告し,最高裁の憲法判断を求める予定